本学OBによる講義「現代建築事情」の見学会が行われました.


 本学OBによる特別講義「現代建築事情」で、今回はie工房の鈴山弘祐さん(佐賀県)にお願いして—建築の世界で古きを「活かす」—というテーマで話して頂きました。講義では、鈴山さんの活動を知ったアメリカのホテルのオーナーから「日本の古民家風の内装をお願いしたい」との依頼があり、アメリカまで出向いて打ち合わせをしていると、そこに現れたのはロバートデニーロであることを後で知って驚いたことなど・・・設計現場の第一線で活躍している話を聞くことが出来ました。


 


二日目は、鈴山さんの作品の見学会を行い、佐賀〜長崎の古民家再生建築を見て回りました。

最初に佐賀県内の古民家から得た部材を活用した「書家の家」(長崎県内)を見学しました。


 

長い歳月を経て磨き上げられた古材が、見事に活かされていました。


 

長崎から佐賀に移動して、茅(葦)葺の家を見学しました。


 

茅葺屋根の棟には大きな瓦が乗っており、瓦に設けてある穴から棒を刺して茅葺屋根に固定します。


茅葺屋根はいくつかの層をなしており、下層には藁や茅(ススキ)を敷き込み最上層部は対候性を有する葦で葺かれています。この作品(七浦 葦葺きの家)は、佐賀県快適建築賞知事賞を受賞しています。


 

昼食は道の駅で購入した弁当を持参し、映画「佐賀のガバイ婆さん」のロケ地となった茅葺の家で食べさせて頂きました。この家の家主さんも今回の見学会に同行しておられ、引率して頂いた鈴山さんは「この佐賀の風景を屋敷とともに後世に残したい」と考えておられるようでした。

 

 

昼食後に、嬉野の平川豆腐店を見学しました。この店舗も、古民家の部材を再利用して建てられています。


 
 

豆腐店の店内、大きな梁が見事でした。古民家に使われていた「欄間」を利用して、作業場から店内が見えるように工夫されていました(中央写真)。店舗の内外にはオシャレなテーブルが配置され、豆腐を素材にしたスイーツ等を楽しむことが出来ます。


 

嬉野を後にして、鹿島から長崎県の大村市に向かう峠にある、料亭「落柿」を見学しました。


 

ゲートをくぐり店舗に裏庭に出ると、山水画のような秋景色が現れました。


 
 

料亭内部はいくつかのパートに分かれており、大広間や数人で料理を楽しめる個室がありました。黒光りする古民家の梁を利用して作られたテーブルは、重量感があって素敵でした。

 

 

最後に、佐賀県に有った民家の古材を利用して建てられた民家(長崎県内)を見学しました。道路側の大きな建物は車庫です。その脇に石敷きのアプローチが有り、奥には白壁の母屋が見えていました。かつて古民家で使われていた石臼等の生活用具が、アプローチのそこかしこに配置してありました。