長崎総合科学大学 工学部工学科建築学コース


2017年度 第20回全国高校生設計アイディアコンテスト

結果発表


課題:「キャンパスの中の憩いの場」


審査経緯


 今回のテーマ設定は本学キャンパス内の建物の一部を条件としました。既存の壁がやや発想を縛る要素となってしまっていないかと考えます。現在ある「部屋」を遵守して、そこで「分割」を手がけていくか、或いは空間をオープンにして(開口部を広くするか、壁を取っ払うか)、もっと自由にデザインしていくか、発想の違いによって結果が違ってくるように思います。後者のような発想がやや少なかったですが、多くの提案(例えば足湯のアイディアなど)はこの後者の発想を有すると、デザインはもっと自由になり、アイディアも生きてくるように感じた次第です。それにしても、大胆で豊かな発想、そして素晴らしい表現力が目をみはるものばかりで、本学の学生が「すごい」、「やばい」と感心しながら作品を鑑賞していました。


 全国9校から49の応募作品をいただきました。心から感謝申し上げます。審査は本建築学コースの教員と学生が1人5作品を投票し、得票上位のものにつき、教員がさらに吟味と批評を加え、最終的に、最優秀賞1作品、優秀賞2作品、入賞4作品を選定しました。賞の数に限りがあるため、得票数の多い一部の作品を割愛しなければならなくなったことは少し残念な気持ちが残ります。

 

審査結果



最優秀賞

長崎県立長崎工業高等学校(定時制) 平川 海空也 さん

指導: 田島 由香子 先生

タイトル: 猫の恩返し


評価:表現のうまさが断トツの作品です。猫による癒し効果のアイディアは数作品に見られたが、この作品は「犬猫殺処分」という社会的課題まで着目して、動物保護の必要性を本アイディアコンペに提起し、「命」を学び、「交流」、「セラピー効果」、「地域連携」を総合的に提案してくれました。建築学の「社会性」に目を配ったところは高く評価したい。









優秀賞

仙台市立仙台工業高等学校(2年) 青沼 朋輝 さん

指導: 五十嵐 昭博 先生

タイトル: 水と空間〜アクアウォール〜


評価:水の流れる音のリラックス効果を生かして、流れというコンセプトに沿った壁(アクアウォール)と地面の一体設計が工夫された作品となっています。考えが明快で、図面の表現も効果的で上手でした。








優秀賞

三重県立四日市工業高等学校 中西 亮貴 さん

指導: 有馬 智昭 先生

タイトル: 段々×談


評価:景色の良い海側に向けて、空間を階段状に設計し、反対側の壁面をスクリーンとして利用した作品です。そうしたシンプルなアイディアのもとで、できるだけ多様な利用可能性を図り、そして景観の「パーソナルスペース」への働きに着眼したところが評価されます。図面の表現はダイナミックでした。























































入賞

長崎県立大村工業高等学校(3年) 下道 瑶平 さん

指導: 本多 望 先生

タイトル: 水の中庭(中に輪)


評価:水槽の設置によって「部屋」の印象を変え、板と畳という和の要素を新たなコンセプト(「つなぎの間」)において現代的にデザインし、これで持って多様な利用目的への対応を考案した作品となっています。 海の多い長崎にマッチするアイディアです。



































入賞

静岡県立科学技術高等学校(1年) 佐藤 惟吹 さん

指導: 杉山 諭 先生

タイトル: 木の下で憩う


評価:「木」を使って部屋の雰囲気を変え、そして窓を広げることによって内外のつながりを改善し、そして、アイディアを図的にわかりやすく表現した作品です。ベンチは一体的に組み立てられ、個々別々としても利用できるように多様性への配慮がなされました。



































入賞

長崎県立佐世保工業高等学校(1年) 藤村 みのり さん

指導: 福田 顕 先生

タイトル: いやしの緑空間〜グリーンスペース〜


評価:「家庭菜園」や「スムージー作り」のイベントができ、料理教室の感覚で憩いと交流の可能性を考案したユニーク作の一つとなっています。空間のデザイン、家具のデザイン、バルコニーの床のデザインなど、きめ細かなところまでアイディアが凝らされました。















































入賞

兵庫県豊岡総合高等学校 藤田 真唯 さん

指導: 丸野 貴好 先生

タイトル: 〇〇×bubble=∞


評価:空間に大小様々な球体を置き、その利用を利用者に委ねるアイディアをとった作品です。「ひらめき次第」という設計者のコンセプトですが、球体の持つ未知の可能性を提起したものではないかと感じました。