長崎総合科学大学 工学部・工学科 建築学コース

速報 2016年度 第19回全国高校生設計アイデアコンテスト

結果発表

テーマ 「家庭における災害備蓄ポータブルパッケージ」


審査経緯

 今回のテーマは、2016年4月に熊本地震が発生し、長崎県内でも防災に対する意識が高まっていることから、「家庭における災害備蓄ポータブルパッケージ」を課題として設定しました。その結果、全国7校49名の応募をいただきました。ありがとうございました。

 応募のあった作品を見ると、実際に自分が遭遇した地震経験を踏まえた実用性の高いものから、避難所における心の課題に焦点をあてたものなど、高校生らしい視点でテーマを解釈し、課題に取り組まれたことが伝わってきました。

 審査は、建築学コースの教員・学生が1人10作品を選定して投票し、一定の得票数以上を審査通過作品としました。その中から入賞に相応しい候補作品を選定し、慎重な審査のもと、特に優れた1作品を最優秀賞、2作品を優秀賞としました。残る作品の中から入賞5作品を選びました(入賞は7作品を予定しましたが、2作品は該当なしとしました)。


審査結果

最優秀賞

静岡県立科学技術高等学校(1年) 植松 駿 さん

指導: 杉山 諭 先生

タイトル:DPP 〜Disaster Portable Package〜

タイヤのついた円形の台に、水、電気ヒーターコンロ、日用品、着替え、毛布などを引出付の箱で仕込み、台の上に、簡易テントとソーラーパネルを載せた案である。簡易テントは、提灯をイメージし、台から取り外して縦方向に蛇腹で伸ばすことができる。まさに今回の課題が求めたパッケージで、それが美しく整理整頓されて納められている。加えて、ペットボトルを詰めた箱を台の中央部に据えて、重心の安定を図るなど、移動のことも考えている。キャリーバックなどに詰めて持ち出す案は他にも多く寄せられたが、この作品は描写も丁寧な手書きで、わかりやすい説明書のように解説されており、傑出していた。




















優秀賞

仙台市立仙台工業高等学校(1年) 折原 はる さん

指導: 五十嵐昭博 先生

タイトル:Emergency Pet


避難所において、人々の心に安寧をもたらす必要性は、過去の災害で度々言われてきたことである。この作品は、直径60㎝の球体のキャリーバッグのころんとした形状をネコ、ウサギ、クマ、コブタになぞらえ、癒しを与えるペットの役割を持たせた。普段の室内ではサイドテーブル等として使え、災害時には胴体に仕込まれた防寒具、食料、水、生活必需品、簡易衝立枠が使え、さらに頭部で太陽光発電も可能とのことで、実用性も提案されている。日常も、災害時も、ペットがわりに携えて歩く姿が想像でき、その意図がかわいらしいスケッチに充分に表現され、優れている。


















優秀賞

長崎県立大村工業高等学校(3年) 濱村 駿 さん

指導: 田島由佳子 先生

タイトル: Moon hope 〜希望の月〜

暖かく彩色された三日月が目を引いた作品である。この三日月は、空気を入れて含ませ、プライベート空間をつくる仕切りである。避難所における仕切りというと、柱梁材による仕切りを想像するが、これはゆりかごのように人を包む点で作者の温かさが伝わる。避難が長期にわたったときの、エコノミー症候群を防ぐための方策にも触れている。避難所における空間の提案まで言及した作品として優れている。





















入賞

仙台市立仙台工業高等学校(1年) 石井 唯 さん

指導: 五十嵐昭博 先生

タイトル: あいけん

愛犬型ロボットにパッケージし、「おいで」の一言で一緒に避難してくれる作品。スケッチ描写が優れている。














入賞

兵庫県立兵庫工業高等学校(2年) 堀 ともか さん

指導: 丸野貴好 先生

タイトル: LOOK UP

折畳んだ紙製テントの案。プライバシーを守るだけでなく、家族の一体感を演出する。














入賞

兵庫県立兵庫工業高等学校(2年) 山田 裕亮 さん

指導: 丸野貴好 先生

タイトル: MEAN TO BAG

リュック4個とキャリーバック1個に、家族4人の必需品を詰めて持ち運べるようにした案。リュックが伸びて4人分の寝袋になる点など、工夫されている。














入賞

長崎県立長崎工業高等学校建築科(3年) 福島 世奈 さん

指導: 平沼晃佑 先生

タイトル: PIPE + AID

細長い筒状に、必需品をパッケージした案。筒状の提案に発想の新鮮さがある。














入賞

三重県立四日市工業高等学校(2年) 呉山 芽衣 さん

指導: 有馬智昭 先生

タイトル: 避難所で店開きする意味とはーー災害前と災害後のパッケージのデザインを考える

街全体で備蓄しようという案。プレゼンに高い表現力がある。